投資には、後から振り返ると「売らなければよかった」と思う瞬間があります。
私もその一人です。
オリックス株を長期保有する中で、途中で一部を売却しました。
結果的には、保有し続けていた方がリターンは大きくなっています。
それでも、不思議なことに今同じ状況に戻っても、私は同じように一部売却すると思います。
なぜ人は「正しいと分かっている選択」を、その通りに実行できないのか。
この記事では、実際の売買経験をもとに、投資判断と心理の関係を整理します。
投資の経緯
2017年からオリックス株を売買し始めて、これまでに至る経緯をまとめました。株価チャートと各イベントの発生タイミングについては、この経緯の文末に図示しています。
2017年〜短期売買期
オリックスは、2015年からカタログギフト形式の株主優待「ふるさと優待」を実施しています。
当時の私は、まだ投資スタイルが固まっておらず、短期売買やスイングトレードを試している時期でした。
オリックス株には、2017年頃から単元株で「優待を取りつつ値動きで利益を取る」という発想から売買を始めたので、長期保有という意識はほとんどありませんでした。
2020年5月:700株まで買い増し
この頃から、株価の安定性を感じ、ポジションを大きく増やしました。
この時は、「下がってもいずれ戻るだろう」と自然に思っていました。
今振り返ると、やや楽観的な判断だったと思います。
しかし直後に含み損となり、一時的な心理ストレスがありました。
それでも売却しなかったのは、「この銘柄は崩れない」という経験的な信頼があったためです。
含み益転換後の100株利確
含み益に転じたタイミングで一部を利確しました。
これは、「利益があるうちに確定させておきたい」という心理が働いたためです。
今振り返ると、この時点での利確は“安心の確保”が目的でした。
中長期投資への切替
残り600株は中長期投資に切り替えました。
この時点でようやく「短期売買ではなく、資産として持つ」という意識が明確になったためです。
2022年5月:優待廃止発表
ところが、オリックスが株主優待制度の廃止を発表したことにより、中長期投資の方針に揺らぎが生じました。
このとき感じたのは「保有理由の一部が消えた」という違和感でした。
制度変更そのものよりも、「今後の評価軸が変わる」という不安の方が大きかったです。
その結果、100株を追加で売却しました。
2024年3月までの上昇局面
優待廃止までの株価上昇局面では、さらに400株を売却しています。
この判断は「上昇余地よりもリスク低下を優先した」ものでした。
当時は“利益を守ること”が合理的に感じられていました。
残り100株と暴落時の買い増し
最終的に100株を残し、優待廃止後も長期保有を前提としました。
その後の2025年4月の暴落時には、逆に買い増しを行いました。
この行動は、「下落時はむしろ機会」という認識が定着した結果でした。
以下にこれまでの流れを株価チャートで整理します。

※株価データは2026年4月26日時点で「株探」(https://s.kabutan.jp/stocks/8591/historical_prices/monthly/)より取得し、筆者がエクセルで作成したチャートです。
なぜ私はこの判断をしたのか(心理の整理)
①売100株【アンカリング効果】
含み損から含み益に転換したタイミングで100株を売却しました。ここでは、以下の心理が介在しています。
- 自分が買った価格を基準として判断
- ようやくプラスになったのだから、ここで確定しておきたいという気持ち
②売100株【無意識バイアス(アンコンシャスバイアス)】
イベントA:適時開示情報「株主優待制度を2024年3月末で廃止すると発表」を受けたタイミングで100株を売却しました。ここでは、次の心理が働いています。
- 優待廃止=株価は下がるはずだ、とどこか決めつけていた
- 個人投資家が失望売りに走るだろうという思い込み
③売400株【損失回避バイアス】
イベントAからB「株主優待制度の廃止」に至るまでの間の上昇局面で400株を売却し、残り100株となりました。
- 2020年から株価上昇局面になっており、含み益が増えてきたため、この含み益を失いたくないという焦りがあった
- これ以上増やすより、今ある利益を守りたいという気持ちが強くなっていた
④売らなかった100株と暴落時の買い増し100株
結果として、売らずに保有していた100株が最も大きなリターンを生みました。
また、2025年4月の暴落時にも、恐怖から売るのではなく、追加で100株を買い増すことができています。
これは、「下落はリスクであると同時に機会でもある」という認識が、少しずつ身についてきた結果だと感じています。
まとめ
オリックス株の売買を振り返ると、結果論では「売らずに保有し続ける」ことが最も大きなリターンにつながっていました。
しかし、当時の自分の判断が間違っていたとは思っていません。
含み益が出れば確定したくなり、不確実な状況ではリスクを下げたくなる。
そうした感情は、多くの投資家が自然に抱くものだからです。
実際に、今回の売買の中でも
「利益を守りたい」
「これ以上は欲張りすぎかもしれない」
といった心理が、判断に大きく影響していました。
こうした行動は、プロスペクト理論で説明されるように、人間にとってごく自然なものです。
重要なのは、「最適な結果」を後から追いかけることではなく、
その時の自分が納得できる判断基準を持っているかどうかだと感じています。
なぜなら、投資は一度きりの選択ではなく、何度も意思決定を繰り返すものだからです。
結果だけを見れば、もっと良い選択はあったかもしれません。
それでも、同じ状況に戻れば、私はまた似たような判断をすると思います。
だからこそ、目指すべきは「完璧な判断」ではなく、
自分の中で再現できる判断ルールを持つことこそが、長期的に結果につながると考えています。

