私は労働所得を中心に、17年間かけて資産を形成してきました。その結果、現在の総資産は約7,000万円に至っています。そのうち5,000万円以上は労働所得(日々の給与からの余剰分)による積み上げです。
また、資産形成の過程で大きかったのは、収入だけではなく、住宅費をはじめとした固定費の構造でした。会社の住宅制度の効果もあり、長期間にわたって生活コストが抑えられていたことが、資産形成を支えていました。
しかし、FIRE実行に至るまでは、「これで十分なのか」「想定外の支出に耐えられるのか」といった別の不安が意識される場面も多かったです。
資産は増えても安心できなかった理由とFIREとの距離感
会社員時代の手取り収入は30万円台後半で推移しており、その中で住宅費は月3万円前後に抑えられていました。
なお、社宅に住んでいたため、3LDKで家族4人でも日常生活に不自由はない水準でした。
仮に一般的な水準で住宅費を考えた場合、月10万円前後かかってもおかしくありません。
この差を年間で見れば80万円以上の余剰資金になります。
収入が一定である中で、支出構造によって資産は増えていく。一方で、FIREという目標に対して「この環境に依存したままで、このペースで本当に到達できるのか」を客観的に見積もることが難しく、将来像がはっきりと描けない状態が続いていました。
現状維持の中で資産が積み上がった理由
積極的に資産形成を進めていたというよりも、これまでの生活や考え方を大きく変えなかった結果として、時間の経過とともに自然に積み上がっていったものに近かったと思います。
その背景には、現状維持バイアスの影響もあったと考えています。リスクを取る選択肢を理解しつつも、実際には大きく方針を変えることはなく、これまでの延長線上で判断を続けていました。
その結果、資産運用も一気に攻めるのではなく、既存の方針をベースにした調整にとどまりました。
この傾向は「大きく増やす力」というより、「崩さずに積み上げる力」として働いていたように思います。
お金と安心感はなぜ一致しないのか
安心感が強くならなかった背景には、「どの水準まで資産が増えれば十分なのか」という基準の曖昧さだけでなく、そもそも当時の資産水準では盤石とは思えなかったこともあります。
資産は増えていたものの、FIRE後は住宅費の上昇や将来支出の不確実性も避けられません。特に退職後は社宅や家賃補助もなくなるため、これまでと同じ支出構造を前提にすることはできなくなります。
また、相場環境やインフレ次第では、7,000万円程度では長期的に十分とは言い切れない感覚もありました。
そのため、資産額が増えること自体は前進ではあっても、「これで完全に安心できる」という感覚にはなかなか結びつきませんでした。
むしろ資産が増えるほど、「どの程度なら持続できるのか」「どこまでなら働かずに済むのか」といった別の不確実性が具体的に見えるようになっていった感覚があります。
資産形成の先で見えてきた「自由」の形
そして現在は、以前とは少し違う考え方を持つようになっています。
かつては「減らしたくない」という感情が強く、現状維持バイアスの中で、大きくリスクを取ることには慎重でした。一方で、FIREを意識するようになってからは、単純に資産額を増やすことだけではなく、「どのように時間を使いたいのか」を以前より重視するようになりました。
その中で最も大きかったのは、家族との時間です。
そのため現在は、「完全に働かないこと」にこだわるのではなく、将来的に必要であれば、少し働くことも視野に入れながらFIRE生活をしています。
以前は、「十分な資産額に到達しなければ自由は得られない」と考えていました。しかし今は、完全な安心を求めるよりも、必要に応じて働き方や生活を調整できる状態の方が、自分にとっては重要だったのではないかと感じています。
まとめ
私は労働所得を中心に、17年間かけて資産を形成してきました。
その中では、収入の大きさだけでなく、住宅費を含む固定費の構造が資産形成に大きく影響していました。社宅制度などの環境要因もあり、安定して資産を積み上げることができた期間だったと思います。
一方で、資産が増えることと安心感は必ずしも一致しませんでした。FIREを意識するようになってからは、「どの程度あれば十分か」という基準の曖昧さや、将来の不確実性を強く意識するようになりました。
現在は、労働所得中心の積み上げから、金融所得(株式投資・投資信託など)による資産形成へと徐々に重心を移しています。
資産額だけで完全な安心は得られない一方で、資産形成を続けてきたことで、「必要に応じて働き方や生活を調整できる状態」には近づくことができました。
以前は「十分な資産額に到達しなければ自由は得られない」と考えていましたが、今は不安の解消よりも、選択肢を持ちながら生活できることの方が重要だと感じています。
資産形成によって得られたのは、資産額そのものではなく、人生の選択肢だったのかもしれません。
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