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年4%台でも7年は長い? ソフトバンクグループ社債を“将来の高金利”と比較してみた

2026年8月末現在、「年4%台の社債」と聞くと、かなり魅力的に感じます。

ソフトバンクグループが2026年9月に発行予定の第70回無担保普通社債は、仮条件が年4.30~4.90%です。発行総額は1兆円、年限は7年で、主に個人投資家を対象としています。

一方で、気になるのが「7年」という長さです。

今後、日本の金利がさらに上昇すれば、1年後、2年後には、もっと高い利回りの債券が登場するかもしれません。

そう考えると、

今、4%台の社債を7年間固定するのは、本当にお得なのか?

という疑問が出てきます。

そこで今回は、仮条件の上限4.90%だけを見るのではなく、4.30%・4.60%・4.90%の3パターンで、将来もっと高い利回りの債券が登場した場合に、どのくらいの利回りなら追いつくのかを計算してみます。


ソフトバンクグループ第70回社債とは?

今回発行されるのは、ソフトバンクグループ株式会社の第70回無担保普通社債です。

愛称は「福岡ソフトバンクホークスボンド」。

2026年8月24日に発行予定が発表され、正式な発行条件は9月4日に決定される予定です。

主な条件は以下のとおりです。

項目内容
発行総額1兆円
各社債の金額100万円
利率年4.30~4.90%(仮条件)
年限7年
償還期限2033年9月16日
償還方法満期一括
払込期日2026年9月17日
募集対象主に個人投資家
担保なし
保証なし
取得予定格付A(JCR)

100万円単位で購入でき、国内で一般募集されます。

無担保・無保証だということで、取得予定格付はAですが、銀行預金のように元本が保証されているわけではありません。

ソフトバンクグループにお金を貸し、その対価として利息を受け取る金融商品です。

したがって、今回の社債を見るときは、「年4%台だからお得」ではなく、「ソフトバンクグループに7年間お金を貸す代わりに、4%台の利息を受け取る」と考えることが大切です。


4.9%で決まるとは限らない

今回の仮条件は、年4.30~4.90%です。4.90%はあくまで仮条件の上限です。

正式な利率は9月4日に決まるため、最終的に4.30%になる可能性も、4.60%になる可能性も、4.90%になる可能性もあります。

そこで、この記事では3つのケースを考えてみます。

  • 4.30%
  • 4.60%
  • 4.90%

そして、100万円を7年間保有した場合の累積利息を計算します。


100万円を7年間持ったら、いくらになる?

まず、税引前で単純計算してみましょう。

年4.30%の場合

年間の利息は、

100万円 × 4.30%=4万3,000円

7年間では、

4万3,000円 × 7年=30万1,000円

です。

年4.60%の場合

年間の利息は4万6,000円。

7年間では、

32万2,000円

です。

年4.90%の場合

年間の利息は4万9,000円。

7年間では、

34万3,000円

です。

まとめると、

ソフトバンクグループ債の利率1年間の利息7年間の累積利息
4.30%4.3万円30.1万円
4.60%4.6万円32.2万円
4.90%4.9万円34.3万円

100万円を投資した場合、利率が4.30%でも7年間で30万円を超える利息になります。

これは確かに魅力的です。

しかし、ここで次の疑問が出てきます。


「1年後に、もっと高い債券が出たら?」

1年後に、新しく発行された債券の利回りが5%になったとします。

「そこまで待ってから投資したほうが良かったかも?」と思うかもしれません。

ただし、1年後から新しい債券を買う場合、運用期間は残り6年間が比較対象となります。

そこで、「残り6年間で30万1,000円の利息を稼ぐには、何%必要なのか?」を計算します。

答えは、約5.02%です。

つまり、4.30%のソフトバンクグループ債に追いつくには、1年後に発行される新しい債券の利回りが5.02%以上必要になります。

(注:ここでは、簡素化のため最初の1年間は100万円を現金で保有したままで金額は変わらないものとします。厳密には、銀行預金でもコンマ数パーセントの利息がつきますし、他に投資先があれば上下変動します。そもそも今回の債券の利回りを超えられる投資先を現在お持ちであれば、今回比較する意味がないので、考えないものとします。以後も同様の考え方で記載します。)


2年後なら、さらに高い利回りが必要

では、2年後にもっと高い利回りの債券が登場したらどうでしょうか。

この場合、残りの運用期間は5年間です。

30万1,000円の利息を5年間で稼ぐためには、約6.02%の利回りが必要です。

3年後なら残り4年間なので、約7.53%が必要になります。

さらに時間が経つほど、必要な利回りは急激に上昇します。


ソフトバンク債4.30%の場合

新しい債券が登場する時期残りの運用期間追いつくために必要な利回り
1年後6年5.02%
2年後5年6.02%
3年後4年7.53%
4年後3年10.03%
5年後2年15.05%
6年後1年30.10%

かなり面白い結果です。

4.30%の社債を購入した場合、1年後に5%程度の債券が出てきただけでは、まだ追いつきません。

また、時間が経つにつれて、後発の債券に求められる利回りはどんどん高くなります。


4.60%ならどうなる?

では、ソフトバンクグループ債が4.60%で決まった場合です。

7年間の累積利息は32万2,000円です。

これに後発の債券が追いつくために必要な利回りは、

新しい債券が登場する時期残りの運用期間追いつくために必要な利回り
1年後6年5.37%
2年後5年6.44%
3年後4年8.05%
4年後3年10.73%
5年後2年16.10%
6年後1年32.20%

こちらもかなり高い水準です。


4.90%ならさらにハードルが上がる

では、仮条件の上限である4.90%で決まった場合を考えます。

7年間の累積利息は34万3,000円です。

新しい債券が登場する時期残りの運用期間追いつくために必要な利回り
1年後6年5.72%
2年後5年6.86%
3年後4年8.58%
4年後3年11.43%
5年後2年17.15%
6年後1年34.30%

3つのケースをまとめると

3パターンを一つの表にまとめると、こうなります。

後から発行される債券が追いつくために必要な利回り

発行時期残り期間SBG債4.30%SBG債4.60%SBG債4.90%
1年後6年5.02%5.37%5.72%
2年後5年6.02%6.44%6.86%
3年後4年7.53%8.05%8.58%
4年後3年10.03%10.73%11.43%
5年後2年15.05%16.10%17.15%
6年後1年30.10%32.20%34.30%

これは、今回の社債を考えるうえで結構重要な数字ではないでしょうか。


「金利が上がるかもしれない」だけでは判断できない

例えば、「今後、日本の金利が上がって、債券利回りが5%になるかもしれない」と考えたとします。

確かに、その可能性は考えておく必要があります。

実際、2026年8月には10年国債の表面利率が2.7%となっています。

また、個人向け国債の「変動10年」は2026年8月募集分で1.87%。半年ごとに利率が見直されるため、金利上昇局面では利率が上がる可能性があります。

しかし、

「将来、金利が上がるかもしれない」

だけで7年債を避ける必要があるのでしょうか。

今回の計算を見ると、少し違った景色が見えてきます。

例えば、最低利回りの4.30%で決まったとしても、ソフトバンクグループ債を購入した場合は、1年後に5%の債券が登場しても、累積利息ではまだ追いつきません。

さらに2年後なら6.02%が必要で、3年後なら7.53%が必要です。

つまり、

高金利の商品が登場する「時期」が遅くなるほど、ソフトバンク債に追いつくためには、かなり大幅な金利上昇が必要になる

わけです。


ただし、この計算だけで「ソフトバンク債が有利」とは言えない

今回の計算は、あくまで単純化したものです。

100万円を投資し、受け取った利息を再投資せず、後から登場した債券を残りの期間ずっと同じ利回りで運用するという前提です。

実際には、そんなに単純ではありません。

例えば、

  • 将来の金利がどのように動くか
  • 新しく発行される債券の年限
  • 発行体の信用力
  • 中途売却時の価格
  • 利息の再投資
  • 税金
  • インフレ
  • 投資資金をいつ使うのか

などによって結果は変わります。

特に今回のソフトバンクグループ債は無担保・無保証です。

取得予定格付はAですが、元本が保証されているわけではありません。

したがって、個人向け国債などと単純に「利率が何%高い」というだけで比較するのは適切ではありません。


7年間の「資金拘束」をどう考えるか

7年間、資金を固定することに価値があるでしょうか。

例えば100万円を4.60%で運用すれば、7年間で32万2,000円の利息です。

かなり魅力的です。

しかし、その100万円を7年間使わないと確信できるでしょうか。

もし途中で、

「住宅購入に使いたい」

「生活費として必要になった」

「もっと魅力的な投資先が見つかった」

となった場合、社債を途中で売却することになります。

そのときの価格は、必ずしも購入価格と同じではありません。

特に市場金利が上昇していれば、既に発行された4%台の社債の魅力は相対的に低下します。

つまり、満期まで持てるなら4%台の利率を確保できる一方、途中で売りたくなったときには金利上昇が逆風になるということです。


一方、個人向け国債には「金利上昇についていける」という強みがある

ここで個人向け国債「変動10年」を考えてみます。

2026年8月募集分の利率は1.87%ですが、変動10年は半年ごとに利率が見直されます。適用利率は「基準金利×0.66」で決まり、金利環境が変化すれば利率も変わります。

つまり、今の利率を10年間固定する商品ではありません。

金利が上昇すれば、その恩恵を受けられます。

さらに、発行から1年が経過すれば中途換金できます。

この「柔軟性」は、7年固定の社債にはない大きなメリットです。

だからこそ、高い利率を固定するソフトバンクグループ債と、金利上昇に追随できる個人向け国債は、単純にどちらの利率が高いかだけでは比較できません。


「利率」と「使う予定」をセットで考える

今回の社債について、私は単純に、「4.3%なら買い」とか、「4.9%なら買い」とは考えません。

むしろ、次の2つを分けて考えます。

① 利率は十分魅力的か?

4.30%でも7年間の累積利息は30万1,000円。

4.60%なら32万2,000円。

4.90%なら34万3,000円。

現在の金利水準と比較すれば、いずれも魅力的な水準です。

② 7年間、資金を固定してもいいか?

こちらは人によって答えが変わります。

7年間使わないお金なら、4%台の利率を固定する意味はあります。

一方で、数年後に使う可能性がある資金なら、7年という期間そのものが大きなデメリットになります。


まとめ

ソフトバンクグループの第70回無担保普通社債は、発行総額1兆円、7年債、仮条件4.30~4.90%という大型の個人向け社債です。

4%台という利率は、現在の金利環境では魅力的です。

ただし、7年間の資金拘束があります。

そのため、「これから金利が上がったら、もっと高い債券が出てくるのでは?」という疑問は当然です。

そこで、100万円を7年間運用する前提で計算してみました。

結果は、

  • 4.30%なら累積利息30.1万円
  • 4.60%なら累積利息32.2万円
  • 4.90%なら累積利息34.3万円

です。

そして、後から登場する債券がこれに追いつくためには、例えば1年後なら5.02~5.72%、2年後なら6.02~6.86%、3年後なら7.53~8.58%もの利回りが必要になります。

つまり、「将来、金利が上がるかもしれない」というだけでは、7年固定の社債がすぐに不利になるわけではありません。

一方で、7年間資金を固定することには確かなデメリットがあります。

社債投資では、利率の高さだけを見るのではなく、「その利率を何年間固定するのか」そして、「将来もっと高い利回りの商品が出たとき、どの程度なら追いつかれるのか」「投資適格に見合った中身か」まで考えた方が良いでしょう。

※本記事の利息比較は、100万円を元本とし、税引前・利息の再投資なし・各債券の利率が運用期間中一定という単純化した試算です。実際の投資成果は、税金、購入条件、金利変動、中途売却価格、信用リスクなどによって異なります。また、今回のソフトバンクグループ債の正式な利率は2026年9月4日に決定予定です。

参考:第70回無担保普通社債の発行に関するお知らせ | ソフトバンクグループ株式会社

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