「NISA口座が約2,800万口座となり、国民の4人に1人が保有する規模になった。」
こんなニュースを見かけました。
さらに政府は、2040年までに家計金融資産に占める株式・投資信託の割合を現在の約2割から欧米並みの4割へ引き上げる目標を掲げています。
新NISAが始まってから、「投資ブーム」と言われることも増えました。
私の投資歴は長いというほどではありませんが、それでも「4人に1人」という数字を見て改めて時代が変わったと感じました。
しかし、ニュースをそのまま読むだけでは見えてこないことがあります。
金融庁や日本証券業協会のデータを調べてみると、実はもっと興味深い事実が見えてきました。
「4人に1人」は本当。でも、それだけでは実態は分からない
約2,800万口座という数字は、人口から考えても「約4人に1人」という表現で間違いありません。
昔なら「株なんて一部の人だけ」というイメージでした。
それを考えると、この数字はかなり大きな変化です。
ただ、この数字だけでは、
どんな人が、どれくらい投資しているのか
までは分かりません。
そこで年代別のデータを見てみました。
実は一番普及しているのは30代だった
私は勝手に、働き盛りの40代前後が一番多いんだろうと思っていました。
ところが人口比で計算した普及率を見ると違いました。
| 年代 | NISA普及率 |
|---|---|
| 20代 | 23.1% |
| 30代 | 33.8% |
| 40代 | 30.1% |
| 50代 | 27.1% |
| 60代 | 25.4% |
つまり、最もNISAが浸透している世代は30代です。
30代のおよそ3人に1人がNISA口座を持っている計算になります。
住宅購入や子育てが始まり、「将来のお金」を考え始める時期でもあります。
新NISAの追い風もあり、この世代に最も広がっているのはある意味納得できます。
そして今、一番勢いがあるのは20代
さらに調べると、近年もっとも口座数の増加率が高いのは20代というデータもあります。
つまり、
- 普及率トップは30代
- 伸び率トップは20代
という構図です。
投資が「お金に余裕のある人だけのもの」ではなく、社会人になったらNISAを始める。
そんな流れが少しずつ定着してきているのかもしれません。
もう一つ驚いたのは「買付額」
政府は以前、2027年までに
- NISA口座3,400万口座
- 買付額56兆円
という目標を掲げていました。
ところが現在を見ると、買付額はすでに目標を超えている一方で、口座数はまだ目標に届いていません。
この数字が意味するものは何でしょうか。
私は、「利用者が増えた」というより、「利用している人がたくさん投資するようになった」ということではないかと思いました。
つまり、投資を始める人が増えているだけではなく、始めた人が本格的に資産形成を進めている。
そんな流れが数字から読み取れます。
「二極化」も進んでいるのではないか
ここからは私の考察です。
金融庁は口座数や買付額を公表していますが、
「どのくらいの人が毎月積み立てているのか」
「どれくらいの金額を運用しているのか」
までは分かりません。
でも、買付額だけが大きく伸びていることを考えると、こんな状況も想像できます。
- 毎月1,000円だけ積み立てる人
- 毎月3万円積み立てる人
- 毎月30万円近く投資する人
全員が同じ「NISA利用者」です。
つまり、利用している人の中でも、投資額の差はかなり大きくなっている可能性があります。
これから先は、「NISAをやっている人」と「やっていない人」の差だけでなく、「どれだけ資産形成を進めているか」という差も広がっていくのかもしれません。
もちろん、これは公開データだけでは断定できません。
ただ、買付額が口座数以上のペースで伸びていることを考えると、そうした可能性は十分考えられます。
「4人に1人」の本当の意味
ニュースだけを見ると、「もうみんな投資しているんだ」という印象を受けます。
でも私は逆に、まだ4人に3人はNISA口座を持っていないという事実の方が印象に残りました。
そして、始めた人の中でも、投資額には大きな差が生まれ始めているといった転換点に、日本はいるのかもしれません。
私が思うこと
投資は「早く始めた人が有利」とよく言われます。
実際、時間を味方につけられる複利の力は非常に大きいものです。
私自身はFIREしたことで、会社員時代のような「稼ぐ力」は弱まりました。それでも、会社員時代に貯めた預貯金を取り崩しながら、新NISAには毎年満額投資を続けています。
もちろん、「余剰資金があるなら、今すぐ特定口座も含めて一括投資した方が期待リターンは高いのでは?」と悩むことは何度もあります。
それでも私は、コツコツ積み立てるスタイルを基本にしています。
なぜなら、期待リターンを最大化することよりも、自分が安心して続けられることを優先したいからです。
市場が大きく下落したときには、勇気を出して追加投資することもあります。
一方で、平常時は毎月淡々と積み立てます。
「もっと早く投資しておけば…」と後悔するより、「これからも続けよう」と思える投資を選ぶ方が、結果的に長続きすると考えています。
今回のニュースでは、「NISAは国民の4人に1人」という数字が注目されました。
しかし、本当に差がつくのは口座を持っているかどうかではなく、何年も継続して投資を続けられるかどうかではないでしょうか。
投資は短距離走ではなく、何十年も続くマラソンです。
だから私は、多少期待値で劣る場面があったとしても、自分が納得して続けられる投資をこれからも選んでいきたいと思っています。
