スーパーでは安いものを探すのに、株式市場では高くなったものを買いたくなる。
一見すると不思議ですが、多くの投資家が経験する現象です。
日用品の買い物では合理的に行動できる人でも、投資になると感情に振り回されてしまうことがあります。
なぜそんなことが起こるのでしょうか。
日用品なら安いと買いたくなる
スーパーで買い物をするとき、多くの人はこう考えます。
- いつもより安いから買っておこう
- セール中だからお得
- 値上がり前にまとめ買いしよう
例えば卵10個入りが300円から200円になれば、「今が買い時だ」と感じる人は多いでしょう。
反対に400円になれば購入をためらうはずです。
つまり私たちは普段、
「安いと買いたくなり、高いと買い控える」
という合理的な行動を自然に取っています。
なぜ日用品では冷静に判断できるのか
それは、私たちが日用品を買うとき、
「今の価格」と「今の価値」
を比較しているからです。
卵を買うときに、
「明日はもっと高くなるかもしれない」
「来週は人気が出るかもしれない」
と考える人はほとんどいません。
今の価格に対して、今の価値が見合っているかどうかを判断しています。
だから価格が安くなれば、
「お得だ」
と感じられるのです。
ところが株になると話が変わる
株式投資では、多くの人が現在ではなく未来を見ています。
株価が上昇していると、
- まだ上がりそう
- 成長している企業だ
- 乗り遅れたくない
と感じます。
逆に株価が下落していると、
- 何か悪いことが起きているのでは
- もっと下がるかもしれない
- 今のうちに売った方がいいかもしれない
と不安になります。
その結果、
高くなると買いたくなり、安くなると売りたくなる。
日用品とは真逆の行動を取ってしまうのです。
私たちは価格の動きから未来を予想している
なぜそんなことが起きるのでしょうか。
それは、株価の動きを未来の予言のように受け取ってしまうからです。
上がっている株を見ると、
「市場はこの企業を評価している」
「これからも伸びるはずだ」
と思いやすいです。
下がっている株を見ると、
「何か問題があるのでは」
「もっと下がるのでは」
と思いやすいです。
つまり私たちは、企業そのものよりも、株価の動きから未来を判断しているのです。
しかし価格と価値は同じではない
もちろん企業価値は変化します。
業績が悪化すれば価値は下がりますし、成長すれば価値は上がります。
しかし現実には、株価ほど毎日大きく変化するわけではありません。
市場全体の不安や景気懸念によって、企業そのものはほとんど変わっていないのに株価だけが大きく下落することもあります。
反対に、期待だけで株価が大きく上昇することもあります。
つまり、価格の変化と価値の変化は必ずしも一致しません。
ここが投資で非常に重要なポイントです。
スコアボードだけ見ていないか
野球観戦に行ったとします。
そこには世界トップクラスの選手がいます。
本来見るべきなのは、
- 打席での内容
- 守備
- 走塁
- 身体能力
といった選手そのものの価値です。
ところが、試合中ずっとスコアボードの数字だけを見ていたらどうでしょう。
選手の本当の実力は見えてきません。
投資も同じです。
企業の競争力や収益力ではなく、株価だけを見ていると、本当に重要なものを見失ってしまいます。
長期投資家が見るべきもの
長期投資において大切なのは、価格の動きではなく価値の変化を見ることです。
- この企業の競争力は変わったか
- 利益を生み出す力は変わったか
- 長期的な成長余地は変わったか
こうした視点が重要になります。
価格は毎日変動します。
しかし価値はそれほど頻繁には変わりません。
だからこそ、株価が動いたときほど、価格ではなく価値に目を向ける必要があります。
まとめ
私たちは日用品を買うとき、安くなれば喜んで買います。
しかし株になると、
安くなると不安になり、
高くなると買いたくなります。
その理由は、日用品では「今の価値」を見ているのに対し、株では「価格の動きから想像した未来」を見ているからです。
もちろん企業価値は変化します。
しかし株価の変化と企業価値の変化は同じではありません。投資で成果を上げるためには、価格に振り回されるのではなく、
価値を見る習慣を身につけることが大切です。
あなたは企業を見ていますか? それとも株価だけを見ていますか?
投資の結果を左右するのは、その違いかもしれません。
