FIREを目指すようになると、それまで見ていた街の景色が不思議な魔法にかかったかのように変わります。
以前ならただの平日ランチタイムだったオフィス街のサラリーマンも、ベンチに座って新聞を読んでいる人も、カフェでノートパソコンを開いている人も、スマホ片手にゆったりコーヒーを楽しむ人も…そのすべてが私には「FIRE達成者」に見えてしまうことがありました。
これは心理学で言う 利用可能性ヒューリスティック(availability heuristic) の影響です。
人は「頭に思い浮かびやすい情報」に過剰に影響される傾向があるそうです。私にとっては、「FIREになったら自由な時間が手に入る」というイメージがありました。だから、平日に街を歩くたびに脳が勝手にフィルターをかけて、「あの人もFIREだ!」「その隣の人もきっとFIRE!」と勝手にラベルを貼ってしまったのです。
もちろん現実には、ほとんどの人は普通に会社勤め中でしょう。でも、平日ランチ民を見るたびに「うらやましい自由時間!」と妄想してしまう。この現象を知っておくと、自分のFIRE欲求の強さや、無意識に周りを理想化してしまう心理を楽しむことができます。
個人的には、この現象はFIREマインドセットの「副作用」だと思っています。脳が自由を求めるあまり、周囲すべてがFIREに関連するもののように見えてきます。気づくと、街中でのちょっとした出来事さえも「FIRE妄想」の対象になります。
電車で隣に座った人が本を読んでいれば、「あの人はもう働かなくてもいいのか…」と思い、カフェで一人ゆったりランチしている人を見ると、「きっと投資で生活費を稼いでいるに違いない」と脳が勝手にストーリーを作り出します。
こうなると、普段はスルーしてしまう光景も、「自由」が絡んだイメージが湧いてきます。もちろん現実は違いますが、この妄想力のおかげで「FIREになったらこうやって過ごしたい」という具体的なイメージをどんどん描けるようになると思います。
結局、FIREを目指すということは、単に資産を増やすだけでなく、日常の見え方を変えるトレーニングでもあります。街のサラリーマンも、カフェの学生も、すべてが未来の自由時間のヒントを与えてくれているように見えてきます。
だからもし、あなたも平日ランチ民を見て「うらやましい…!」と感じたら、それは脳がFIREモードになっている証拠です。街の景色を自由のフィルター越しに眺める楽しさを、ぜひ味わってみてください。
ちなみに私がFIREを目指した理由は、こちらに記載しております。⇒41歳、資産7000万円で早期退職を決断した理由|ゆるFIREの始め方
<投資における利用可能性ヒューリスティックには要注意!>
投資をしていると、「なぜかその銘柄ばかり気になる」「最近よく聞く投資手法が正解に思える」と感じることがあります。もしかすると利用可能性ヒューリスティックにハマっているかもしれません。
人は「思い出しやすい情報」や「最近よく見た情報」を、実際以上に重要だと判断してしまう傾向があります。投資の世界では、このクセが思った以上に強く働きます。
SNSで見た銘柄に飛びついてしまったり、暴落のニュースに過度に反応してしまったり、成功体験を過大評価してしまったり・・・このバイアスの厄介なところは、自分では気づきにくいことです。
しかも投資では、「情報量が多い」「感情が動きやすい」「お金が絡む」という条件が揃っているため、利用可能性ヒューリスティックが増幅されやすい環境になっています。結果として、「高値掴み」「狼狽売り」「流行りへの過剰反応」といった行動につながります。
完璧に防ぐことはできませんが、対策はあります。
①数字で判断する
②情報源を固定し過ぎない
③ルールを決めて自動化する
などです。
「それ、本当に重要な情報か?」と一度立ち止まるだけで、判断の質は大きく変わります。もしFIREを目指すのであれば、一時の印象ではなく、再現性のある行動で長期に生き延びることが重要となってきます。投資の判断はくれぐれも慎重に。

