投資を始めたものの、「いつ買うか」だけでなく「いつ売るべきか分からない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。短期的な値動きを気にして売買を繰り返してしまい、結果的に思うような成果が出ないケースも少なくありません。
こうした悩みに対して、有力な選択肢の一つとなるのが、バイ・アンド・ホールド戦略 です。この手法は、一度購入した資産を長期間保有し続けるというシンプルな投資方法であり、相場の短期的な変動に左右されにくいのが特徴です。
本記事では、バイ・アンド・ホールド戦略の基本的な考え方から、どのような場面で有効なのか、また注意すべきポイントについてもわかりやすく解説していきます。
バイ・アンド・ホールド戦略とは?
バイ・アンド・ホールド戦略 とは、一度購入した株式や投資信託などの資産を、長期間にわたって保有し続ける投資手法のことです。
短期的な価格の上げ下げに一喜一憂するのではなく、企業の成長や市場全体の拡大といった長期的な価値の上昇に期待して投資を行うのが特徴です。
例えば、株価が一時的に下落したとしてもすぐに売却するのではなく、将来的な成長を見据えて保有を続けることで、長期的なリターンを狙います。
また、この手法は売買の回数が少ないため、取引コストや税金の影響を抑えやすいというメリットもあります。
一方で、どのような資産でも長期間保有すればよいというわけではなく、投資対象の選定やリスク管理が重要になる点には注意が必要です。
利益確定はどこまで重要?
投資において「利益確定のタイミング」は、多くの人が悩むポイントの一つです。特に、含み益が出ている状態になると、「今売るべきか、それともまだ持ち続けるべきか」と判断に迷う場面も多いのではないでしょうか。
一般的に、株式や投資信託の売却益には約20%の税金がかかります。そのため、一度利益確定をすると、その分だけ手元に残る資金が減り、同じ数量を買い戻すためには、さらに価格が下がるのを待たなければならないという状況が生まれます。
このような仕組みから、「せっかく税金を払うくらいなら、まだ保有していた方がいいのではないか」と考え、売却の判断が遅れてしまうケースも少なくありません。また、一度売却した後に価格が上昇すると、「売らなければよかった」と後悔してしまう心理も働きやすくなります。
バイ・アンド・ホールド戦略 は、こうした売却タイミングの難しさや心理的な負担を軽減するという側面もあります。あらかじめ長期保有を前提とすることで、短期的な値動きに振り回されず、落ち着いて投資を続けることができるためです。
ただし、利益確定が不要というわけではありません。投資対象の状況が大きく変化した場合や、資産配分を見直す必要がある場合には、適切なタイミングで売却を検討することも重要です。
利益確定と税金の影響
例えば、ある株式を 100,000円 で購入し、価格が 150,000円 に上昇したとします。
このタイミングで売却して利益確定を行うと、利益は 50,000円 です。
日本では株式や投資信託の売却益には約 20%の税金 がかかるため、実際に手元に残る利益は次のようになります。(簡易のため税金20%とする)
| 項目 | 金額 |
| 売却価格 | 150,000円 |
| 取得価格 | 100,000円 |
| 利益 | 50,000円 |
| 税金(20%) | 10,000円 |
| 手元に残る利益 | 40,000円 |
つまり、売却後に同じ株を再度買い戻す場合、価格が 10,000円以上下がらないと前と同じ数量を買い戻せないことになります。すなわち今の価格150,000円に対して6.7%以上下落するという自信がない限り売却しない方が無難といえます。
それでも売却を検討するべきケース
投資対象の前提が崩れたとき
購入時に期待していた成長性やビジネスモデルが大きく変化した場合は、保有を続ける理由がなくなることがあります。
例えば、業績の悪化が一時的なものではなく、構造的な問題である場合には注意が必要です。業績の悪化影響が不透明であったり長期化すると見込まれる場合は、早めに撤退し次の投資対象に投資資金を回すことも考えた方がいい場合があります。
ポートフォリオのバランスが崩れたとき
特定の銘柄や資産の比率が大きくなりすぎると、リスクが偏ってしまいます。
このような場合は、一部を売却して資産配分を調整(リバランス)することも選択肢となります。但し、売却せずにリバランスする方法として、余剰資金が残っていたり収入が入ってきたりしたときに、他資産を買い増しして調整するという方法もありますので、必ずしも売却しなければならないということではありません。
また、リバランスは頻繁に行う必要はありません。税金面も考慮し、年単位で見るなど売買頻度を下げるとよいでしょう。

生活環境や資金計画が変わったとき
投資は余剰資金で始めることが肝心ですが、万事うまくいくことは稀です。ライフイベント(住宅購入、教育費など)によって想定外の資金が必要になる場合、保有資産の一部を売却する判断も現実的です。
投資はあくまで生活の一部であり、投資のために生活を切り詰めてしまっては、本末転倒になることもあります。自分の中で優先順位をよく考えて判断しましょう。
明確な投資方針の変更があったとき
投資スタイルが変わった場合や、より適した投資先が見つかった場合には、既存の資産を見直すことも選択肢の一つです。投資を継続していると知識が増えてきて、今の投資先に不安を抱いたり、他にもいろいろなことを試したくなってくることもあるでしょう。
但し、手数料や税金を差し置いてでも投資先を変更したいのか?については、よく考える必要があります。
まとめ
バイ・アンド・ホールド戦略 は、長期的に資産を保有することを前提としたシンプルで効果的な投資手法です。短期的な価格変動に一喜一憂することなく、時間を味方につけて安定的な資産形成を目指せるのが特徴です。
ここまでの記事を振り返ると、主なポイントは以下の通りです。
1.長期的な成長の恩恵を受けやすい
株式市場は短期的には上下しますが、長期的には成長傾向があります。バイアンドホールドでは、この長期成長の波に乗ることができます。
2.売買コストや税金の影響を抑えられる
頻繁な売買による手数料や税金を減らし、投資パフォーマンスへの影響を最小限にできます。
3.投資判断の負担が少ない
毎日の価格変動を気にせず、長期保有に集中できるため、精神的な負担が軽減されます。
4.感情に左右されにくい
高値掴みや狼狽売りなど、短期の感情による判断ミスを防ぐことができます。
5.状況に応じて売却も必要
成長性の低下、資産配分の偏り、ライフイベントなど、合理的な理由がある場合には、適切に売却やリバランスを検討することも大切です。
バイアンドホールド戦略は、初心者でも取り組みやすく、長期的な資産形成に向いた投資手法です。短期的な上下動に振り回されず、計画的に投資を続けることで、安定した成果を目指すことができます。
ただし、万能ではありません。市場や生活環境の変化を意識し、必要に応じて柔軟に対応することが、長期的に成功するためのコツです。

