正直に言うと、私はこの本を読むまで「投資とはお金を増やすもの」だと疑いもなく信じていました。できるだけ節約して、できるだけ多く積み上げる。そして将来に備える。それが正解だと思っていました。
そんな考え方が大きく揺らいだのが、ビル・パーキンス著のDie with Zeroを読んだときでした。「お金は増やすだけでなく、使い方まで考えなければ意味がない」というメッセージに、過去の価値観がひっくり返るような衝撃を受けました。
読んでみれば確かにその通りです。若いうちから経験にお金を使い、人生を最大化するという発想は理にかなっています。でも、いざ自分に当てはめようとすると……正直、勇気がなかなか出ませんでした。貯める安心感や、将来への不安が、どうしても足を引っ張ってしまいます。
この記事では、私自身の迷いも含めつつ、Die with Zeroの考え方をどう自分に落とし込んだかを整理しました。
(書籍が気になる方はこちら:DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール)
Die with Zeroとは
Die with Zeroの考え方の核心は、「人生の終わりにお金を残すのではなく、人生を最大限楽しむために、お金・時間・健康を最適に使おう」ということです。つまり、お金をただ貯めるのではなく、人生の満足度を最大化するために使うことこそが、本当の資産形成だという考え方です。
具体的には、次のようなポイントがあります。
・経験に投資する
若いうちにしかできない体験や学びにお金を使うことで、人生全体の満足度が増える
⇒経験が資産になる
・お金の取り崩しを計画的に行う
ただ貯めるだけでなく、必要なタイミングで使うことが重要である
・やりたいことを先送りにしない
今、この瞬間を最優先に大切にする
この考え方に触れたとき、私は最初に「理屈は理解できるけど、自分に適用する勇気は簡単には出ない」と感じながらも、少しずつ取り入れていく方針を固めていきました。
一番影響を受けたこと:FIREのタイミング
私が最も影響を受けたのは「FIREのタイミング」に対する考え方でした。それまでの私は、「できるだけ早く資産を増やし、できるだけ安全な状態でリタイアすること」を目標にしていました。いわば、“遅くても確実なFIRE”を目指していたのです。
しかし、Die with Zeroの考え方に触れてから、その前提が揺らぎました。
「本当にそこまで待つ必要があるのか?」
「健康で自由に動ける時間や家族との時間を削ってまで、資産を最大化する意味はあるのか?」
そう考えるようになり、私はFIREのタイミングを“できるだけ早く”へとシフトさせました。もちろん不安が消えたわけではなく、すぐに方針を切り替えられたわけでもありません。それでも、「お金を最大化すること」よりも「人生を最大化すること」を優先したいという気持ちが、徐々に強くなるきっかけの一つにはなっていたと思います。
ゆるFIREという選択
FIREのタイミングを早めるということは、その分だけ資産の余裕が少なくなるということでもあります。完全に働かない状態を目指すには、どうしてもハードルが高くなってしまいます。
そこで私が選んだのが、「ゆるFIRE」という選択でした。
これは、資産収入だけに頼るのではなく、必要に応じて少し働きながら生活するスタイルです。完全なリタイアではないものの、その分だけ必要な資産額を大きく下げることができます。この選択によって、「資産が十分に貯まるまで待つ」という発想から、「ある程度の準備ができた時点で、人生を前倒しで楽しむ」という考え方へとシフトすることができました。
結果として、将来の安心を100%確保する代わりに、今の時間と自由を少し早く手に入れるというバランスを取るようになったのです。
これはまさに、Die with Zeroが示している「お金・時間・健康の最適配分」を、自分なりに実践した形だと感じています。
FIREの形にはいろいろあります。こちらの記事では、その詳細をご説明しております。⇒そのFIREで大丈夫?全種類から最適解を選ぶ方法~Design Your Ideal FIRE Lifestyle~
極端に行う必要はない
皆さんに早すぎるFIREをおすすめするつもりはありません。一方で、Die with Zeroのすべてを取り入れなくとも、自分に適正な範囲で工夫することは、おすすめしたいです。
ここでは、いくつかの小さな事例をご紹介します。
・経験に少しずつ費用を割く
例えば、同じ100万円を使うのでも、「20代での海外旅行」と「60代での高級旅行」では、得られる価値は大きく異なります。
体力や好奇心、感受性が高い時期に使うお金は、単なる消費ではなく、その後の人生に長く影響を与える“投資”になります。他にも習い事、学びのために使うお金は、将来の糧になります。
・思い出に価値を置く
例えば、友人との旅行や家族での特別な時間など「後で振り返ったときに価値を感じる経験」にお金を使うことは、高価なモノを買うよりも価値がありそうです。
・小さく試して学ぶ
最初から「全部の貯金を使う」と考える必要はなく、小さく始めて、後でリターン(満足度や思い出)を振り返ることが、自分に適した方法を学ぶ一歩になります。
こうした工夫を通して、少しずつ「使う投資」の感覚が身につき、貯めることばかりを優先していた自分の価値観に、柔軟性が生まれてくると思います。ポイントは、「いくら使うか」より「いつ使うか」です。
まとめ
私が学んだことは、「お金は人生の道具であり、使い方次第で人生の満足度を大きく変えられる」ということです。
・理屈として理解することは簡単
・でも実際に行動するには勇気がいる
・ゆるFIREや経験への投資など、工夫すれば少しずつ実践できる
みなさんも、自分に合った“使う投資”を一つでも試してみることで、人生の可能性は大きく広がるはずです。

