ここ数日、為替市場では大きな動きがありました。
7月31日、日本と米国が円買いの協調為替介入を実施しました。
その後、円高が急速に進み、ドル円は一時155円台まで下落しました。7月には一時164円に迫るほど円安が進んでいたため、わずかな期間で大きく流れが変わっています。
「為替協調介入」とは一体何なのでしょうか。
そして、今回の介入によって円相場はこのまま円高に向かうのでしょうか。
今後の投資を考えるうえで、注目しておきたいポイントを整理します。
為替協調介入とは?
為替介入とは、政府や中央銀行が為替市場で通貨を売買し、為替相場に影響を与えることです。
日本の場合、財務省の指示に基づいて日本銀行が実際の市場取引を行います。
例えば急激な円安を抑えたい場合には、円を買う・外貨を売ることで、円高方向への動きを促します。
今回のように複数の国が協力して介入するのが「為替協調介入」です。
日本だけでなく米国も参加することで、為替市場に対してより強いメッセージを送ることができます。
今回の日米協調介入で円高が進んだ
今回の協調介入は、かなり大きなインパクトを与えました。
7月にはドル円が一時163円台まで円安が進行。
ところが協調介入を受け、ドル円は大きく下落し、8月3日には一時155円23銭まで円高が進みました。
つまり、
163円台 → 155円台
と、短期間で8円程度も円高になったことになります。
ただし、ここで「協調介入があったから、これからずっと円高」と考えるのは早計です。
為替介入だけで長期的な為替トレンドを変えるのは簡単ではありません。
実際、市場では今回の介入効果がどこまで持続するのかが大きな焦点になっています。
今後の円相場で注目したいイベント
今回の協調介入を受け、今後は単純に「次の介入があるか」だけを見るのではなく、円安・円高の材料そのものをチェックする必要があります。
特に注目したいのが次のイベントです。
① 米国の雇用統計
米国の雇用統計は、為替市場に大きな影響を与える代表的な経済指標です。
米国の雇用が強ければ、
米景気が強い
→ FRBが利下げしにくい
→ 米金利上昇
→ ドル高・円安
という流れになりやすいです。
反対に雇用が弱くなれば、FRBの利下げ観測が強まり、ドル安・円高につながる可能性があります。
次回の米雇用統計は8月7日。
今回の協調介入後だけに、かなり注目度の高いイベントになりそうです。
② FRBの金融政策
米国の金融政策も重要です。
FRBが利下げに動けば、日米金利差が縮小し、円高要因になります。
一方で、インフレが再加速するなどして利下げが遠のけば、ドル高・円安に戻る可能性があります。
つまり、米国が利下げするのか?という点は、今後のドル円を見るうえで重要です。
③ 日銀の追加利上げ
もう一つの重要なポイントが日銀です。
日本が利上げを進めれば、日米の金利差が縮小するため、円高方向に作用しやすくなります。
逆に、日銀が利上げに慎重な姿勢を続ければ、円安圧力が残る可能性があります。
今回の協調介入についても、市場では介入効果を持続させるには日銀の金融引き締めが重要になるのではないかとの見方があります。
④ 日本の物価・賃金
日銀が追加利上げを判断するうえでは、日本国内の物価や賃金の動きも重要です。
物価上昇が続き、賃上げも進めば、「日銀は追加利上げできるのでは?」という期待が高まり、円高材料になる可能性があります。
逆に物価や賃金の伸びが鈍化すれば、利上げ観測が後退する可能性があります。
⑤ 次の為替介入があるのか
そして、次の介入の有無です。
今回の協調介入によって、円安に賭ける投機筋にとっては「円売りを続けることのリスク」が高まりました。
そのため、今後ドル円が再び急速な円安方向へ動いた場合、
「次も介入があるのでは?」
という警戒感そのものが、円安を抑える可能性があります。
実際、元日銀関係者からは、円安が再び進めば日米が再度介入する可能性があるとの見方も出ています。
円高になれば日本株にはどう影響する?
円高になると、輸出企業には逆風になりやすいです。
例えば自動車や機械など、海外で売上を上げる企業は、円高になると海外で稼いだ利益を円に換算した際の金額が小さくなります。
一方で、輸入企業や海外から原材料を仕入れる企業にとっては、円高がメリットになる場合があります。
そのため、円高=日本株全体が下落と単純に考えることはできません。
ただし、これまで円安を前提として業績が伸びてきた企業については、今後の為替レートが業績予想にどう影響するのかを確認しておきたいところです。
個人投資家はどうする?
今回の協調介入を見て、個人投資家が慌てて投資方針を変える必要はないと思います。
むしろ重要なのは、「為替が大きく動く可能性が高まっている」ことを意識しておくことではないでしょうか。
特に海外株やオルカンなどの外国資産を保有している場合、株価だけでなく為替によっても円換算の評価額が変わります。
円高になれば、海外資産の円換算評価額にはマイナスの影響があります。
逆に、これから海外資産を購入する人にとっては、円高は買い付け価格を抑える方向に働きます。
為替を正確に予想するのは難しいからこそ、一度に全てを判断するのではなく、長期・分散を意識することが重要だと思います。
まとめ
今回の日米協調介入によって、為替市場は大きく動きました。
ただ、これで円高トレンドが確定したわけではありません。
今後は、
- 米国の雇用統計
- FRBの金融政策
- 日銀の追加利上げ
- 日本の物価・賃金
- 次の為替介入の可能性
などを注視していく必要があります。
為替介入は、一時的に相場を大きく動かす力を持っています。
しかし、長期的な為替相場を決めるのは、最終的には日米の金融政策や金利差、両国の経済状況です。
今回の協調介入をきっかけに円高へ転換するのか、それとも再び円安へ戻るのか。
しばらくは為替市場から目が離せない状況が続きそうです。
