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FIREしたらiDeCoはどうする?所得控除と19年ルールから考える「続ける・やめる」の判断

iDeCoは節税効果の高い制度です。

掛金は全額が所得控除になり、運用中の利益も非課税。

そのため、

「老後資金を準備するなら、iDeCoは使わないともったいない」

と考えている人も多いのではないでしょうか。

私もその一人でした。

ところが、早期退職して会社から退職金を受け取ったことで、iDeCoの「出口」について改めて考えるようになりました。

iDeCoは「非課税」が強調されがちですが、実は受け取り時に課税される場合があります。

しかも、会社の退職金とiDeCoをどちらも一時金で受け取る場合、受け取り時期によっては退職所得控除を単純に2回使えるわけではありません。

そして私の場合、早期退職によって「19年ルール」が関係してきます。

今回は、iDeCoの受け取り時に注意したい税金と、私自身のケースについてまとめます。


iDeCoは「完全に非課税」ではない

まず、iDeCoの税制上のメリットを整理してみます。

iDeCoには大きく3つの税制優遇があります。

① 掛金が所得控除になる

iDeCoの掛金は、原則として全額が所得控除の対象です。

そのため、現役時代に所得税や住民税を支払っている人であれば、掛金を拠出することで税負担を軽減できます。

② 運用益が非課税

iDeCoでは、運用中に発生した利益に対して税金がかかりません。

通常の課税口座でも、投資信託などを売却せず含み益のまま保有している間は、基本的に課税されませんが、iDeCoのメリットが出てくるのは、運用商品の売却や買い替えをしたときです。

例えば、100万円で購入した商品が150万円になったとします。

通常の課税口座で売却すれば、50万円の利益に対して約20%の税金がかかります。

一方、iDeCoでは、運用商品の売却や別の商品へのスイッチングを行っても、その時点で運用益に課税されません。

そのため、運用中に利益を確定して別の商品へ乗り換える場合でも、税金を差し引かれることなく、その資金を次の運用に回せるというメリットがあります。

ただし、これは「最後にiDeCoを受け取るときも非課税」という意味ではありません。

③ 受け取り時にも控除がある

もう一つ重要なのが受け取り時の税制優遇です。

iDeCoを一時金として受け取る場合は、退職所得控除の対象になります。

年金として受け取る場合は、公的年金等控除の対象になります。

つまり、「受け取り時に必ず全額課税される」わけではありません。

ここはiDeCoの大きなメリットです。

ただし、逆に言えば、「受け取り時も完全に非課税」というわけでもありません。


iDeCoを一時金で受け取ると「退職所得」になる

iDeCoを一時金で受け取る場合、そのお金は退職所得として扱われます。

ここで登場するのが退職所得控除です。

退職所得控除の計算は、勤続年数などに応じて決まります。

一般的には、

  • 勤続年数20年以下:40万円×勤続年数(最低80万円)
  • 勤続年数20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

という計算になります。

iDeCoの場合は、会社の勤続年数とiDeCoの加入期間のうち長い方をもとに退職所得控除額が計算されます。

そして、退職所得は、

(退職金などの収入-退職所得控除)×1/2

という形で課税所得を計算するのが基本です。

そのため、退職所得控除の範囲内に収まれば、結果として税金がかからないケースもあります。

「iDeCoは受け取り時も税金がかからない」と言われることがあるのは、この仕組みがあるからでしょう。

しかし、ここで一つ問題があります。


退職金とiDeCo、退職所得控除をそれぞれ使えるとは限らない

会社から退職金を受け取る人にとって、iDeCoの出口戦略は少し複雑になります。

例えば、

  • 会社から退職金を1,000万円
  • iDeCoを500万円

受け取るとします。

「退職金には退職所得控除」
「iDeCoにも退職所得控除」

です。

なので、実際には過去に受け取った退職金などとの重複を調整する仕組みがあります。

つまり、会社の退職金とiDeCoを、単純に「別々の退職金」として扱えるとは限らないということです。

そして重要なのが、受け取る順番と時期です。


「5年ルール」から「10年ルール」へ

ここは、これからiDeCoを受け取る人なら知っておきたいポイントです。

これまで、iDeCoの一時金を先に受け取り、その後に会社の退職金を受け取る場合、一定期間を空けることで退職所得控除の重複を避けられる可能性がありました。

いわゆる「5年ルール」です。

ところが、2026年からこの期間が見直されました。

5年から10年へ延長されています。

つまり、

iDeCoを先に受け取る

5年間待つ

会社の退職金を受け取る

という受け取り方は、以前のようには使えません。

今後は、10年という期間を意識する必要があります。

定年退職まで会社で働き、退職金を受け取る予定の人は、iDeCoの受け取り時期について早めに考えておいたほうがよさそうです。


私の場合は「19年ルール」が関係する

そして、ここからが私自身のケースです。

私は一般的な定年退職ではありません。

早期退職してFIREしました。

その際、会社から退職金を一時金として受け取りました。

つまり、私の場合は、会社の退職金をiDeCoより先に受け取ったということになります。

では、その後にiDeCoを一時金で受け取ればどうなるのでしょうか。

ここで出てくるのが、いわゆる「19年ルール」です。

退職金を受け取った後、一定期間内にiDeCoを一時金で受け取る場合、過去に受け取った退職金との関係で、退職所得控除の重複調整が行われる可能性があります。

国税庁の説明でも、iDeCoなどの老齢一時金を受け取る場合、前年以前19年内に退職手当等を受け取っている場合について、退職所得控除の計算に関する調整が定められています。

つまり私の場合、

早期退職

会社から退職金を一時金で受け取る

将来、iDeCoを一時金で受け取る

19年ルールが関係する可能性がある

ということになります。


FIREすると「所得控除」というiDeCo最大のメリットがなくなる

忘れてはいけないiDeCoの大きなメリットの一つが、掛金の全額所得控除です。

現役時代に毎月2万円をiDeCoに拠出していれば、年間24万円が所得控除の対象になります。

所得税率10%、住民税10%なら、単純計算で年間約4.8万円の税負担を軽減できることになります。

iDeCoを長期間続けるほど、この節税効果は無視できません。

ところが、FIREして会社を辞めると事情が変わります。

そもそも課税される所得がなければ、所得控除を受けても節税できないからです。

私自身もFIREして会社員時代の給与所得がなくなったことで、このメリットをほぼ失いました。

つまり、FIRE後もiDeCoを続ける場合、

「掛金が所得控除になるからお得」

という、現役時代には非常に大きかったメリットを期待できなくなります。

では、所得控除が使えないFIRE後も、iDeCoにお金を入れ続ける意味はあるのでしょうか?


それでもFIRE後にiDeCoを続ける価値はあるのか?

ここは非常に悩ましいところです。

FIRE後は掛金の所得控除が使えません。

それなら、

「iDeCoなんて続けず、NISAで投資したほうがいいのでは?」

と考えるのも自然です。

実際、FIRE後の資産形成ではNISAには大きなメリットがあります。

NISAも運用益が非課税ですし、iDeCoと違って必要になれば売却して現金化できます。

一方、iDeCoには原則として60歳まで資産を引き出せないという大きな制約があります。

FIREすると、会社員時代よりも「いつでも使えるお金」の重要性は高まります。

生活費や教育費など、今後まとまった支出が発生する可能性もあります。

そう考えると、「所得控除も使えないのに、60歳まで引き出せないiDeCoへ追加で資金を入れる必要があるのか?」という疑問が出てきます。

ただし、iDeCoには所得控除以外のメリットもあります。

運用中に商品を売却・乗り換えしても、その運用益に課税されないこと。

そして、最終的に受け取るときにも退職所得控除や公的年金等控除が利用できることです。

つまり、FIREしたからといって、iDeCoの税制メリットがすべてなくなるわけではありません。

問題は、「FIRE後もiDeCoに追加拠出することで得られるメリットが、資金を60歳まで拘束するデメリットを上回るのか?」ということになります。


「iDeCoかNISAか」ではなく、使い分けが重要

私自身は、FIREしたからといって「iDeCoはもう不要」とまでは考えていません。

ただ、会社員時代と同じ感覚でiDeCoを続けるのも違うと思っています。

会社員時代は、

iDeCoに拠出する

所得控除を受ける

所得税・住民税を節税する

というメリットがありました。

ところがFIRE後は、所得控除による節税効果が小さくなります。

そのため、FIRE後の資産形成では、「iDeCoを優先する」のではなく、NISAとの役割分担を考えることが重要だと思っています。

例えば、

iDeCo

  • 60歳以降の老後資金として確保
  • 運用中の利益確定に課税されない
  • 受け取り時には退職所得控除などを利用できる
  • ただし原則60歳まで引き出せない
  • FIRE後は所得控除のメリットが小さくなる

NISA

  • 運用益が非課税
  • 売却して必要なときに現金化できる
  • FIRE後の生活資金・教育費などにも対応しやすい
  • iDeCoより資金の自由度が高い

という違いがあります。

FIRE後は特に、「税金をどれだけ減らせるか」だけでなく、「いつでも使えるお金をどれだけ確保しておくか」も重要です。

だから私は、iDeCoとNISAを単純にどちらか一方に決めるのではなく、

60歳以降まで使う予定のないお金はiDeCo

それまでに使う可能性があるお金はNISAなど

というように、資金の用途で分けて考えるのがいいのではないかと思っています。

さらに私の場合は、今年FIREしてすでに会社から退職金を受け取っています。

将来iDeCoを一時金で受け取る際には、退職所得控除の重複調整も考えなければなりません。

そのため、「FIRE後もiDeCoを続ければ、税制上必ず得をする」とも言い切れません。

iDeCoの掛金を追加するかどうかは、来年までに

  • FIRE後の所得
  • 所得控除による節税効果
  • iDeCoの運用期間
  • 60歳までの資金拘束
  • NISAの利用状況
  • 退職金の金額影響
  • iDeCoの加入期間
  • 将来の受け取り方

まで含めてじっくり考えていきたいと思います。


まとめ:iDeCoは「節税」だけでなく「出口」まで考えて使いたい

iDeCoは、現役世代にとって非常に魅力的な制度です。

掛金が所得控除になり、運用中の利益確定にも課税されず、受け取り時にも退職所得控除や公的年金等控除があります。

ただし、FIREすると状況が変わります。

所得がなくなれば、掛金の所得控除という大きなメリットを十分に活かせなくなるからです。

さらに私の場合は、早期退職時に会社から退職金を一時金で受け取っています。

将来iDeCoを一時金で受け取る際には、19年ルールによる退職所得控除の重複調整も考える必要があります。

だからこそ、今回改めて感じたのは、

iDeCoは「節税になるから、とりあえず続ける」という制度ではなく、出口まで考えて使う制度

ということです。

現役時代は所得控除のメリットが大きいですが、FIRE後はそのメリットが小さくなります。

一方で、運用中の非課税メリットや受け取り時の控除は残ります。

そして、60歳まで引き出せないという制約もあります。

だからこそ、FIRE後はiDeCoとNISAを同じ「非課税制度」として考えるのではなく、それぞれの特徴を理解して使い分けることが重要だと思います。

私自身も、FIREしたことで「積み立てること」だけではなく、「いつ、どのように受け取るのか」まで考えてiDeCoと付き合う必要があると感じています。

iDeCoは非課税だから安心。

そう思っていた私が、早期退職して初めて気づいたのは、税制優遇の大きさだけでなく、受け取り方やタイミングまで含めて考えることの大切さでした。

※退職金とiDeCoの税務上の取り扱いは、受け取り時期や加入期間、過去の退職金の有無などによって変わります。実際に受け取る際は、国税庁やiDeCo公式サイトの最新情報を確認し、必要に応じて税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

参考サイト:No.2732 退職手当等に対する源泉徴収|国税庁

      No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁

      iDeCo(イデコ)のメリット|iDeCoってなに?|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】

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