投資の世界では、昔から同じような失敗が繰り返されています。
- 高値掴み
- 狼狽売り
- バブルへの熱狂
- 「今回は違う」という空気
歴史を見れば、何度も起きてきたことです。
それなのに、なぜ人はまた同じことをしてしまうのでしょうか。
考えてみると、そこには2種類の「繰り返し」があるように思います。
同じ人が、同じ失敗を繰り返す
まず1つ目は、個人レベルの繰り返しです。
たとえば、
- 暴落で不安になって売ってしまう
- 上昇相場で焦って飛び乗る
- SNSで他人の利益報告を見て冷静さを失う
こうした行動は、一度経験したからといって簡単には消えません。
頭では「前回失敗した」と理解していても、実際に相場が動き始めると感情が優先されるからです。
特に投資では、
- 欲望
- 恐怖
- 焦り
- FOMO(取り残される恐怖)
が非常に強く働きます。
そして厄介なのは、人は時間が経つと痛みを忘れることです。
暴落時には「もう二度とこんな思いはしたくない」と思っていても、相場が回復し始めると、少しずつ警戒心が薄れていきます。
結果として、また同じ行動を繰り返してしまうわけです。
先人たちの失敗を、自分も繰り返す
もう1つは、歴史レベルの繰り返しです。
投資の歴史を振り返ると、
- バブル
- 過剰な楽観
- レバレッジの膨張
- 「新時代」への期待
は、何度も繰り返されています。
それでも毎回、多くの人が「今回は違う」と考えます。
ITバブルの時も、リーマンショック前も、仮想通貨バブルの時も、AI関連銘柄への期待が高まる今も、人々は新しい物語に熱狂します。
もちろん、本当に時代を変える技術が生まれることもあります。
しかし問題なのは、「良い未来」と「適正価格」は別ということです。
期待が大きくなりすぎると、人は冷静な判断を失いやすくなります。
これは昔から変わっていません。
暴落は「例外」ではない
投資をしていると、暴落はどうしても“特別な出来事”のように感じます。
しかし、歴史を振り返ると、株式市場では大きな下落は何度も起きています。
下のチャートは、米国株の代表指数であるS&P500の長期推移です。
▶引用元:Macrotrends S&P500 Historical Chart
右肩上がりの成長の裏側で、暴落が繰り返されてきました。

また、S&P500の下落頻度はざっくり以下の頻度で発生していると言えます。
- 5%以上の下落
→ 平均すると年に2回程度 - 10%以上の下落(調整局面)
→ 約1年半に1回 - 20%以上の下落
→ 約6年に1回
ちなみにS&P500の代表的な「20%以上の下落(ベアマーケット)」を並べると、このようになります。
| 年 | 主な要因 | 最大下落率(概算) |
| 1973〜1974 | オイルショック・高インフレ | 約-48% |
| 1980〜1982 | 高金利・景気後退 | 約-27% |
| 1987 | ブラックマンデー | 約-34% |
| 2000〜2002 | ITバブル崩壊 | 約-49% |
| 2007〜2009 | リーマンショック | 約-57% |
| 2020 | コロナショック | 約-34% |
| 2022 | インフレ・急速利上げ | 約-25% |
しかし、こうした下落が歴史的に何度も起きているにもかかわらず、暴落のたびに多くの人が「もう終わりだ」と感じてしまいます。
本来、暴落は市場では珍しい出来事ではありません。
それでも、人は目の前で資産が減ると、過去の知識より“今の恐怖”に強く引っ張られてしまいます。
なぜ歴史から学べないのか
ここで面白いのは、多くの人が「知識としては」歴史を知っていることです。
暴落の存在も、バブル崩壊も、誰もが知っています。
それでも繰り返してしまいます。
なぜなら、人は“体験している空気”に強く影響されるからです。
周囲が盛り上がり、
- 「まだ上がる」
- 「乗り遅れるな」
- 「今は特別な時代だ」
という雰囲気になると、理性より感情が前に出やすくなります。
逆に暴落時には、
- 「もう終わりだ」
- 「今回は回復しない」
という空気に飲まれやすくなります。
つまり人は、過去の知識より“今の感情”に左右されやすい生き物なのだと思います。
投資で大切なのは「人間は繰り返す」と理解すること
結局のところ、人間の感情そのものは昔からあまり変わっていません。
だから市場でも、似たような熱狂と恐怖が繰り返されます。
重要なのは、
「自分だけは冷静でいられる」
と思い込まないことかもしれません。
むしろ、
- 自分も焦る
- 自分も欲張る
- 自分も不安になる
という前提で、
- 積立を自動化する
- ルールを決める
- 長期視点を持つ
- SNSと距離を置く
など、“感情に流されにくい仕組み”を作る方が現実的です。
投資は、知識だけのゲームではありません。
人間心理との付き合い方が、そのまま結果に表れやすい世界なのだと思います。
